画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される100点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスのネコにまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。
「フランス絵巻」

あけましておめでとうございます。
まだ三回目だけど、今年もよろしくニャー。

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新しい年に新しくするモノ、それは、スケジュール帳。

冒頭の画像は、去年、ヒトメボレして、愛用していたネコ手帳。メイドインフランスで使い勝手は良くないけど、飼い主がネコのご機嫌にあわせるように、持ち主が手帳に合わせる。

当然、今年もこのネコシリーズで!と、2017年版もゲットしました。

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よく見ると、今年は“キツネ”シリーズだったという……。
意外にも、フランスには可愛い手帳が少ないんですよ。

まず、仏国に初めて来たとき、、売られているノートが、ヒジョーに地味で拍子抜けしたオボエあり。

そもそも、“カワイイ”kawaiiという言葉は、tunami(津波)、wasabi(ワサビ)、bonsai(盆栽)、miso(味噌)、siso(紫蘇)、kamikaze(神風)、harakiri(切腹)などと同様、日本語がそのまま使われている(タトエが長い)。

このことからしても、仏国には“カワイイ文化”が存在しなかったことがわかります。
というか、カワイイという感覚はあっても、概念として認識されなかったんですね。日本語の“愛”(love)や“自由”(freedom)が、明治に輸入されたみたいなもんですわ。

ともかく、幼少時代から可愛いノートや香りつきケシゴムに囲まれていた日本人(私)にとって、文房具コーナーの地味オーラは、ある種のカルチャーショックでした。

当初は、「なるほど、仏国はこんなところも“オトナの文化“なのだ。たしかに、勉強するのにキャラクターは要らんわな」と納得。
そして、My母親(古き日本人)が、学生の私に言ったセリフ「学生は勉強するのが本業、アルバイトはせんでよい」までオーバーラップしたものです。

その頃、仏国には、個人商店があちこちに残っていたこともあり、文房具は文具店で買い、豆腐は豆腐屋、タワシは金物屋、という古き良き習慣が懐かしく嬉しかったのもあります。

しかし、仏国に長く住むようになって、自分の見解違いに気がつきました。

オトナの文化だからカワイイものが無い、のではなく、勉強道具にカワイイものを導入するという“柔軟な発想”が仏人には無い(無かった)のでアル。
フランスの文具メーカーは、そんな“ディテール”を考える時間があったら、“バカンス”に充てるしな。

ノートや鉛筆に限らず、放っておいても需要がある分野は、誰も変革を起こさないのがフランスなのだ。
何の分野も、日本に比べて、新製品がものすごく少ないのが、このことを証明しているように思いますわ。

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昨今は、仏国にもカワイイ文化が輸入されて、カワイイものが増えてきましたが、仏国生まれのキャラクターには、イケてないのが多い。

日本人からみると“あきらかに流行らない”と思われるキャラクターが、かなり人気を得ていることにも驚きます。

おそらく、歴史的にカワイイものが氾濫してなかったせいで、カワイイ偏差値が低いんだろう。
仏国では大半の女性が、胸の谷間を見せる着こなしをしている為、仏男たちはいちいち谷間に反応しない。のに対して、日本では谷間文化の歴史が無い為、少しの谷間でも日本男児の刺激反応が高い、のと似ている。
……。
谷間のタトエは、要らんかったかもしれない。

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人種間の差は置いといて、キャラクターや絵を“カワイイ”“イケてる”と感じる感覚は、人それぞれですけどね。

冒頭のスケジュール帳を可愛い!と思った人もいれば、「ど・こ・が?」と感じる人もいるわけで、絵やグッズは、人によって「好き」「嫌い」「無関心」のどれかに分類されます。

そして、日本人の場合は、自分の好き嫌いよりも「大勢が持っているものになびく」という“村八分DNA”も残存しております。

自分の意思より、集団の意識が自動的に優先されて、“自分と世間の境界がない層”がケッコーな割合を占めている。

日本で爆発的に何かが売れるのも、この層を動かしやすい、という国民性のオカゲと思う。

ちなみに、猫には、単独行動のDNAがあるそう。これは、獲物を単独(自分1人)で捕まえられる為、群れをなす必要がない=個人の身体能力が高い、ということらしい。

日本人は、集団の和を持って平和をなし、“みんなが持ってるから”買う=身体能力が低く、(自分に)自信が無い、ということになるんかな?

詳細はネコに訊いてみニャーな。

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PS.キツネもネコに見えた如く、以前は、私がネコを描くと、必ずイヌになった。