画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される100点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスのネコにまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。
「フランス絵巻」
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前回は猫神バステト(母性)のお話でした。
母親の影響は、自分が親になっても続き、母親が亡くなるまで、その呪縛は解けません。

知らないうちに、母の憧れや評価するものがコドモの価値観になってますもんね。
たとえば、結婚相手を決める際、無意識に“お母さんが喜ぶ相手”だったり、“お母さんが自慢できる肩書の人”を選んでいたり。
あるいは、その正反対で、“お母さんが侮蔑するタイプ”を連れてくるパターンもあります。故意にではなく、母親の世間的体裁をあぶりだされる事になるんですよね。

今は、お母さんにもチャッカリ恋人がいる時代ですが、母の秘めたる恋愛中に、“よりによってこのタイミングで”娘や息子に異性問題が同時発生することがよくあります。
家族は、どこかで連動しあっているため、奇妙な偶然が起こって、自分自身の問題に向きあわされることになるんでしょうね。
恋人アリは羨ましー限りザンスが、なぜそれを求め続けるのか?という点が課題カモネ。

さて、恋人といえば。
先日、ブログで“5つの動物占い”をみました。
猫、狼、牛、タヌキ、ロバ、を、長旅中に手放さねばならない状況になったとしたら、どういう順番で手放すか?というやつ。(ご存じない方は、今、やってご覧あさーせ)

動物の背後に隠れている5つのキーワード(恋人、プライド、お金、友達、仕事)で、“ジンセーにおける優先順位”が判明する心理テストです。

ネコを最後まで手放さ(せ)なかった人=“恋人“を最重視するタイプ、らしい。
ネコ好きの方は、恋人の為に、すべてを捨てる、ということになりますか。
ネコのほうに捨てられたりして?

『あなたの為にすべてを捨てて尽くします』っていわれたら、恋人が鬱陶しくなって逃げ出しますよ。
“想い”は、おもいすぎると、“重い”になるんですわ。
アナタの為といいつつ、自分を認めさせたいだけの自己チューだから、そのウザイとこだけが相手に伝わるのです。

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ところで。
もっと昔にも(会社員時代)、この動物占いが流行った事がありましたよ。
当時は、5つの選択肢に猫が入ってなかったんで、猫も恋人も手放さずに済みました。

昔のバージョン↓もトライしてみますか?こちらもなかなか深淵ですぜ。
『ライオン、牛、猿、馬、羊の5種類の動物』を、順番に手放してみてください。
最後に何が残るでしょうか?

<心理分析>
ライオン:プライド、牛:ゴハン、猿:子供、馬:仕事、羊:配偶者

<MY結果>
一番最初に、何の迷いもなく、配偶者を捨てました。大変よく当たっています。
最後に残ったのは、プライド。やはりよく当たっています。
“プライド“といっても、ちっぽけな虚栄心や面目を保つアレではなくて、”自尊心“という尊厳のことヨ。
昨今は、“私を私が喜ばせる”みたいな言い方が流行っていますが(コジン的には断じて使用しないフレーズだが)、自分を大事するってのは、自尊心を大事にするって事ですからね。
ワタクシ、日常の9割はヘラヘラしているのに、自尊心に障る発言だけは猛烈にムカつくんですわ。けど、不用意に自尊心に踏み込んだ人にも自尊心があるんで、たとえ憤死しかけても、相手のそこは潰さないことにしています。

一方、“新バージョン占い“のほうでは、最後に残ったのが“ロバ”。
ロバ=仕事、だそうです。現在の仕事=画業。
絵を描いていると、恋愛さえ超越するほどの至福を得られるんで、これもよく当たっています。恋愛の至福を久しく忘れているせいも大。

そろそろ、話を猫に戻せ?

古代エジプトには、”猫薬“(ねこグスリ)なるものがあったそうです。
(戻しすぎっ。)

古代エジプトの動物学の本に、こんな話が載っているラシイ。
“腹痛の対処法“として、『猫の糞、ロータス入りのパン、スイカ、甘いビール、ぶどう種をまぜて軟膏を作り、患部にあてよ』
さらに、『猫の脂肪のみで作った軟膏は神経痛に効く』
『猫の糞、犬の糞、クセトの木の実を混ぜて作った軟膏は、いかなるフケ症も直す』

すべて“内服薬“ではなく、”外用薬“だった点が、かろうじて救われますよね。
現在、いかにペットブームで、エコロジーの時代とはいえ、犬猫の糞を薬として循環させるには、あと50年は要するだろーな。

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平成時代に、猫の糞を頭皮に塗る美容師がいたら犯罪ですけど、“カラダにイイモノ”や健康法は時代によって変わります。
ワタクシはコーヒー党で、朝のブラックから1日が始まります。
コーヒーが大腸ガンの予防になると持て囃されたかと思えば、ほんの数年前、コーヒーが急に悪者になって、コーヒー派がコーヒー断ちしたことは記憶に新しいですよね。

この時、コジン的に、信用しなかったのはコーヒー豆ではなく、情報を鵜呑みにして、右ナラエした人達。
少なくとも次回から、その人らに“サバ缶”をすすめられても、説得力を大幅に欠くことになります。

無論、ワタシの信用を欠いたとて、誰も困らんけども、安直な情報や“皆がやってること”になびくより、自分の野性感覚と好き嫌いを優先するのが正解じゃないかな。
あなたの健康は保証しないけど。

猫糞薬に話を戻しましょう。

古代エジプトでは、猫=神だから、猫糞=神の排泄物ってことで、プラシーボ効果は十分あったでしょうね。
成分が糞でも、本人が信じきることで、特効薬になる、ってことですわ。

当時、おそらく誰もが、猫糞薬を手に入れることに躍起になったんじゃないでしょうか。

“カラダにいい●●”、“痩せる■■”を行列してでも取り寄せる現代人が、エジプト人の猫糞を笑うことはできません。

ネコのように、食べたい時に食べ、寝たい時に寝て、怒りたい時に怒るのが、時代を超えても正しい姿であります。

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