南仏ネコ絵巻十三話

画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される100点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスのネコにまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。
「フランス絵巻」
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“南仏ネコ絵巻”、オカゲ様で丸1年経ちました。
昨年11月12日にスタートして、本日12月12日から2年目突入!

エッセーの話をいただいた際、唯一の条件は「毎月、猫に関することを書いてください」。
この、最小にして最大の条件は、猫を飼ったことのない私にはハードルが高かった。
筆力より、猫力を問われているわけですからね。

そもそも、仏国在住の私に白羽の矢が立ったということは、当然、“仏国独自の猫事情を発信してや~”という暗黙下の要望がメインだろう。
となると、重要度は、猫力>仏力>筆力、というチカラ関係になり、ハードルどころか、走り高跳びレベル~。

でも、仏国に住んでいるというだけでは、猫の生態を知ることはできないんよね。犬と違って、お散歩タイムが無いため、道で猫とスレ違う機会もないんですわ。野良猫もほぼおりませんし(保護施設がある為)。

そこで、わたくしは考えました。

「猫を飼おう。」

エッセーの為に猫を飼う、すさまじい文豪魂。

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結論からいうと、今も飼ってないけど~。
…………。

なぜ、飼わないか?といいますとね、猫で我が身をやつすのが目にみえているからです。

フロー図にすると、猫を飼う⇒猫に耽溺(たんでき)⇒片時も離れたくない⇒ひきこもり⇒日本に帰れない⇒個展の開催ができない⇒身を滅ぼす。

自分軸を忘れ、猫軸で生きる人間になってしまうんですよね。

まあシカシ、愛猫家が書く猫エッセーが、論語読みの論語知らずになりがちなところを、猫知らずが書く猫エッセーなら、猫アレルギーの人でもウエルニャム! ってことでどうですかね?

これで2周年目も大丈夫だろう………。

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さて。
昨今の猫ブームは、日本だけでなく、仏国でも共通しております。

猫は、年中、屋内にいるイキモノなんで、増えても減っても外目にはわかりませんが、仏国で飼われている猫の数、なんと、1350万頭! ちなみに、イヌは730万頭(ペット食品メーカーFacco-Kantar/2017年5月データ)

“仏国はイヌ天国“だと思い込んでおりましたが、猫が大逆転してたんですねえ。
エスプレッソの仏国、と思っていたら、実際には、紅茶を飲む仏人のほうが、コーヒー派を遥かに上回っていた事実と同じオドロキですよ。

遠い場所で同じ現象が起こる“百匹目の猿現象”が、猫にも起こってますね。今や、もう、猿100匹も要らない時代ですけどね。タイムラグが縮まってるそうだから。

つまり、ひと昔は、風が吹いたら桶屋が儲かるまで、時間がかかってました。わらしべ長者が、長者になるまで、紆余曲折がありました。現在は、風が吹くと直接桶屋に、そして、ワラを拾ったら、もう長者なんです。
意味わかんない?

スルーして。
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猫エッセーを開始してから、私自身が変化したこともあります。それは、猫に関するモノ、すべてに目がとまるようになったこと。

フランス旅行をすると決めた途端、パリという字を目が拾ってしまうってやつですわ。
猫もパリもずーっと存在しているのに、自分の思考に無いものは、存在していないのと同じ、ということにも気づきます。
今では、“描く“という字まで”猫“に見えるようになりました。

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先日、仏国の雑誌(Tele-loisir)に、”Le maine coon”という猫が載っていたのを、目が拾いました。

普段は、わたくし、仏文を読むのを自発的に避けておりますが(努力を要する為…)、今回は猫エッセーの為に、翻訳作業に時間を割きました。
猫にひかれて善光寺です。

“maine coon”は、ヤマネコと猫をかけあわせたような巨体猫なんです(体長約1m20cm、体重14kg)。
猫飼いの間では有名(人気)だそうで、誕生の由来や歴史が書いてありました。
この猫の起源には4つの仮説があり、その1つに、マリー・アントワネットが登場。
ギロチン刑にかけられる直前、アントワネットの愛猫を、米国人・クロー船長に委ねたト。のち、その猫が米国に渡り、始祖となったという説(注:信憑性は低いらしい)。
「これは面白いエッセーが書けそー」ってことで、なんとか、日本語訳を完結しました。

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その後、何気にグーグルで検索してみたら、“maine coon”は、日本名”メインクーン“。
そして、ソコに、さきほど苦心して翻訳した内容以上のことが、日本語で、ズラーっと書いてありました。
…………。

こういうのを、猫折り損のくたびれもうけ、いうんですよね。

インターネットのおかげで(せいで)、“仏国発信の猫情報”は、“日本でも同時にわかる猫情報”です。

というわけで、2周年目も、“読むだけでコジツケ力があがるエッセー”、を目指します!

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