画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される100点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスの猫にまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。
「フランス絵巻」
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今月も仏国の猫特番(TV)から、“知られざる猫の新事実“を紹介してまいりましょう。

※飼い猫の首にGPSカメラをつけて、猫の行動を追い、その軌跡に固定カメラを(も)設置して、24時間×1ケ月の間、観察するというもの。

まず、パリ在住の猫、“謎のランデブー”編。

オス猫15歳は、毎日、18時になると必ず、玄関ドアへ行き、「出してくれ~!!」と飼い主に訴える。
飼い主が外に出してくれなかった日ニャぁ、夜中の3時まで「出せ出せコール」で鳴き続ける。この執念に飼い主は降参し、18時開門が日課になった。

猫君は、春夏秋冬、18時にそそくさと家を出、夜中0時~1時に戻ってくる生活を続けている。

18時に家を出て、この猫は一体、何をしていたのか?

毎日、同じ時間に、同じ森へ行き、いつも決まった場所でジーっと座りこんでいるのですわ。
そこで誰かを待っている様子。この日は、1時間半、そこにヒタスラ座っていただけで、待ち人来ず。

翌日のカメラがとらえたのは、猫君がソコに到着後、ほどなくして、別の猫(若い野良猫)登場。その瞬間、「あっ、キタ!」の顔で立ち上がり、お互いが、自分の匂いを木になすりつけてご挨拶。
文字通り“猫トモ会合“が定時に繰り返されていたんですね。
引き続き、2匹目の猫がやってきました。
2匹目に対して、猫君はさらに相好を崩し、その表情が、馴染みの歳月を表しておりました。
で、この時、反射的に、相手の(2匹目の猫の)お尻をポン!と叩くシグサをしたんですわ。猫パンチの超ライト版の、ポン!です。

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これは、人間でいう「ハロ~!元気?!」にあたる行為で、仲間への友好表現だそう。
「昨日来んかったやん! 1時間半も待っとってんで~」ってことでしょうね。

ここで特筆すべき点は、3匹の猫が皆、オスであるということ。
通常、猫は、オスとメスは、仲良くなっても、野良猫(去勢してない)のオスと家猫がツルむということは稀ラシイ。
猫の生態を熟知する博士も、「非常に珍しいケース。個人的に初めてみた」と語っておった。

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猫の“妊活バナ”も出てきました。

猫の発情期は、初春から10月末。1年に3回、妊娠可能だそうで。米よりすごい三毛作。

二毛作、二期作で米や作物を収穫するより速いペースで、イキモノの生命が誕生するのはフシギ。しかも、1回の出産で最高9匹まで子猫を産むこともあるトカ。
ジャポン古来の“犬帯”は、“猫帯”と呼んでもよさそーです。

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メス猫の本能が、“健康な子を産む”、“できるだけたくさんの子を産む”ということから、(メス猫は)“複数のパートナー”(交尾相手)を持つのがフツーだそうです。
“より優れた猫を創造する”という掟が遺伝子にプログラミングされている、ということですね。

人間界のメスが同じことをやると、“節操ない”ということになりますが、猫界では、“お父さんが違う子”のほうがメジャー。
人間界は、子供の父親は“母のみぞ知る”で、猫界は、本人(母猫)も子も“お父さんは誰かわかんニャー”というライトな関係のようです。

コトが成立するかどうかも、メス猫に主導権があります。
メスの気に入らないオスや、いかに好みのオスでも、ソノ気にならない日(時)には、猛烈に拒否&威嚇。鼻の下を伸ばして接近したオスもタジタジで退散。

双方同意が成立した暁の“ラブタイム”は、たったの15秒。節操ないわりに、そっけないねんね。
そして、“1日あたり”の平均回数は、最高で15回。質より数か?

猫は、種の保存という自然の理のもとに、“その時がきたらそーなっている”だけで、快楽を得るための人間の行為とは違いますもんね(猫になってみんとわからんが…)。

ちなみに、人間の場合は、恋愛アカデミーの男性講師曰く、“男は無意識に女性を次の3種類に分別している”という。

“したい”か“できる”か“絶対できない”か。
女性からするとムッとされそうですが、美醜とは無関係なんです。人間がみた美猫が猫世界でモテるとはマッタク限らないのと同じで、目にはみえない嗅覚が作動しているのです。

この3分別は、オスの本能を的確に分析していると思いますよ。

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女性だって、よく考えみれば(考えなくても)根本は同じですからね。
女はなぜか、理由が必要な生き物ゆえ、〇〇だから〇〇なった、という後付けをやりがちですけど、源はオスと同様、原始的(動物的嗅覚)なものです。

ただし、女の場合は、最初は“あり得ねーカテゴリー”に分別していたオスに対しても、何かのはずみで、“まさかのスイッチ”が入るケースはありますがね。
その点、男は、一度、分別すると、それがひっくりかえることは未来永劫ナイそうです。片思いの女子は、ただちに別の男子に移行するが吉。

最後に、野生の老猫から学ぶ“若さを保つ秘訣”を紹介しておきましょう。

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推定15歳の野良猫。家猫と違って、去勢してない野良猫が15年間も健康で、大きな怪我もなく生きているという事実が、まず驚異らしい。猫の15歳は、人間の76歳前後。
人間の76歳に個人差があるように、この老猫は毎日、森の中の広範囲を闊歩しています。肉体年齢35歳といったところか。

自分のテリトリーに侵入してきた猫を、凄みのきいた鳴き声で追い出したり、ある時は、象の鳴き声にソックリな雄叫び(オタケビ)をあげている。

この象声は、“メス猫を誘惑する時の鳴き方”だそう。
効果はテキメンで、まんまと、若い(?)メス猫がやってきました(ご対面の直後、プイっと去られてしまいましたが…)。声フェチの女が、声優をナマで見た時のガックリ感か?

プチ失恋はともかく、いくつになってもモテたい欲求は、元気の活力になるんですよね。
ということを、野生猫が証明してオリンス。

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