画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される100点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスの猫にまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。
「フランス絵巻」
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猫の二大ストレス、それは、引っ越しと、ほかの猫との同居。

本日は、二大ストレスを1匹で抱えてしまった猫のお話ドス。

仏人カップルが【それぞれ猫1匹、猫2匹飼っていた】状態から同棲することになりました。2人が同じマンションに引っ越した日から、猫の悲劇が始まったのです。

人間のカップルは、前より広いマンションで心機一転、猫は心機暗転。
猫にとって、環境が変わることは、ストレス以外のなにものでもない上、“連れ子(猫)”のオマケまでついてきたわけです。

引っ越し後、ほどなくして、謎のオシッコ事件が発生。

トイレは、3匹の猫に(個別に)1つずつ用意してあるにも拘らず、洗面所のあたりから、オシッコのニオイがして、玄関を開けると、ムワっと臭気が漂ってくるほどに。

そこで飼い主はTV番組(猫特番)に調査を依頼。

取材班は、まず、粗相(そそう)の現場をピンポイントで特定するために、“オシッコ探知ライト”なるものを持参。
猫のオシッコは、ニオイが強烈でも、蒸発すると目には見えませんからね。

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これは小型の懐中電灯のようなもので、部屋を暗くして、このライトを床面に照らすと、オシッコの跡がブルーに反応します(床がブルーに反射)。

ブルーになった面を、念入りに掃除すればオッケー。

ちなみに、仏国の床掃除には、 “ジャベル(日本でいう塩素系漂白剤Hイター)”が、万能洗剤として長年愛用されております。
しかし、猫のオシッコに限っては、使用タブー。かえってニオイが取れなくなるそうです(消毒効果はあるが、消臭には逆効果)。

↑ワテがよくやるタブー

↑ワテがよくやるタブー

そのほか、「猫のオシッコ掃除にはアンモニアが効く!」との説を唱える仏人もいるラシイ。

しかし、アンモニアは、それ自体がオシッコ臭ですので、“ココにオシッコしていいよ”のサインにもなり、オシッコ癖をさらに誘引することになるそうです(考えたらわかりそうなもんやけど)。

話を戻しましょう。

オシッコの犯人は、猫3匹のうちの誰なのか? あるいは2匹なのか。3匹が、のべつまくなしなのか。

いつ、どこで、誰が、5W1Hならぬ5W1S(シッコ)を突き止めるため、3匹の猫全員に小型カメラをつけて、24時間観察することになりました。

結果、犯人はいつも同じ猫。引っ越し前には1匹だけで飼われていた猫。
オシッコの現場は、バスルーム(洗面所&風呂場)。そして、カメラは、さらなる衝撃映像をとらえていたのです。

3匹の猫の間で、2対1の派閥ができていたのです。

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2人の飼い主が連れてきた3匹の猫を、それぞれABCとします。
もともと一緒に住んでいたA猫とB猫はいままで通り平和に暮らしているのですが、ここに、別で飼われていたC猫(オシッコ犯)が入ってくると、B猫が猛烈に威嚇し、C猫を拒絶するんですわ。

たとえば、A猫とB猫がベッドの上で寛いでいる時に、C猫が、横を通りがかっただけでも、B猫がパンチを喰らわせ、追い出しにかかるといった具合。

C猫がテリトリーに入ってこないように、B猫がずっと睨みをきかせているため、C猫は、ずっと気を遣い、緊張していたのです。

人間でもそうですけど、オドオド(びくびく)したオーラが出てると、益々、イジメっ子をつけあがらせてしまうんですよね。

イジメ防御に効果的な対策に、「デカイ声でしゃべる」というのがあります。
声のデカイ人に、イジメられてる人は滅多におりませんからね。
C猫も、B猫に向かって、「何しとんニャっ!!」と怒鳴り返せば、面喰らうハズなんですけどねえ…。

そんなことを知る由もないC猫は、B猫の目が届かないところに隠遁するようになり、唯一の安住の地が“洗面所と風呂場”になった、というわけです。

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毎晩、C猫は、洗面台や浴槽内を寝床にして、洗面所の端っこにオシッコをしていました。

当初は猫用トイレを使用していたのですが、ストレスから膀胱炎になり、オシッコをするたびに下腹部に痛みを感じるようになっていた、ラシイ。

“トイレでオシッコをするたびにお腹が痛い”という症状は、猫の脳内では、“トイレ(というもの)が自分に痛みを与えるもの=トイレが悪い”と変換されるそうです。
それで、C猫はオシッコの際に、“悪者であるトイレ”を避けるようになり、別の場所で用を足すようになった、とのこと(獣医談)。

そもそも、ある日突然、知らない猫の前に連れていかれて、「きょうから3匹兄弟だから、仲良くしてね」って、猫に通用するわけがないですよね。

オトナの人間だって、「アンタできるんか?」って言われたら、ニャキたくなりますよ。

赤ちゃんの猫ならまだしも、3匹とも猫我(自我)が芽生えた成猫ですんでね、飼い主の都合通りにはいきません。

愛猫が人間関係(猫間関係)に疲弊して、病気になっていたことを、飼い主がまったく知らなかったというのが歯がゆいですね。
悪いのはイジメる猫ではなく(←猫の本能ですから)、人間(飼い主)の理解不足。

自分の猫の顔色がいつもと違うとか、様子がちょっと変だな、という微差には最低限、気づいてほしいものですね。

もの言わぬ猫なだけに、胸がしめつけられる思いがしました。

念のため、こういうケースの対策を3つ、紹介してありました。

①威嚇する猫の視線を逸らすため、キャットタワーを置く。
キャットタワーの脚の部分には猫の好きなニオイをつけ、タワー前方には、カーテン代わりにドライフラワー等で仕切りをつける。

②猫用トイレは、頭数分ではなく、頭数+1つ追加で用意しておく(猫3匹の場合はトイレを4つ設置)。
たったこれだけのことで、トイレ問題が解決することがあるそうです。

③ストレスを抱えた猫に、フラワーエッセンス(画像)を、朝と夜、ゴハンに数敵垂らす。

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フラワーエッセンスには種類があるので、“不安、怖れを緩和”に効果があるものを選ぶ。副作用は猫にも人間にもありません。
*ただし原液や種類によっては注意が必要なものもありますので、使用の際は専門家のアドバイスを受ける、または詳しく調べてからご使用ください。

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オシマイ。

※来月2月22日の「南仏ネコ絵巻」は都合によりお休みです。3月22日の更新(予定)をお楽しみに!