画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される200点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスの猫にまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。

「フランス絵巻」

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朝になると、マンションの玄関先に、クッションが山積みになっているという仏人家庭のミステリー。

今回は、この謎を解いていきますニャ。

家族構成は、40代の仏人夫婦、10歳の娘1人、里親になって2年の猫。
猫の名は“ミネ(Minet)”

マンションの構造は、玄関を入ると長い廊下があり、廊下の側面に夫婦の寝室と子供部屋、廊下のつきあたりがリビング。

リビングのドアは常に開放されていて、朝でも夜でも家族が自由に出入りできるようになっています(クダンのクッションは、リビングのソファーに4個並べてある)。

ミネはリビングに置いてあるダンボール(専用ゲージ)で寝起きしています。

クッションの大きさはミネの優に3倍もあり、こんな大きなものを猫が毎晩、何メートルも運べるとは考えにくく、このミステリー解明のために取材班がしん潜入。

カメラを居間、廊下、玄関に設置し、24時間×数日間、撮影。

夜。
リビングで家族団らん後、夫婦と子供は、それぞれ寝室に移動。
ミネはリビングのダンボールで就寝。
家の中が静まり返った真夜中、0時10分。
ミネがムクっと目を覚まし、ダンボールの中からノソノソと出てきました。

おもむろにピョンと、ソファーに飛び乗り、クッションを咥えたっ。
次に、クッションを床に引きずりおろし、歯で(クッションを)維持したまま、後ろ向き(後ろ歩き)で、長い廊下を伝い、玄関先まで運搬していた。
この作業をクッションの数だけ繰り返し、居間と玄関を4往復!

日によっては、1~2コだけの日もありましたので、その日の体調にヨルみたいやけど。笑。

朝になると、ミネは“何もなかったような顔”でリビングのダンボールで熟睡。

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この行動は、パンサー、ジャガー等、猫科にみられる特異的な習性だそう(獣医談)。
獲物(ミネの獲物=クッション)をとらえると、まず、安全な場所まで引きずっていき、落ち着く環境で獲物を食スという習慣がDNAに刷り込まれているのですな。

とりわけ、ミネの場合、幼猫時代~里親にひきとられる前まで~は田舎暮らしだった為、夜中に外を走りまわって獲物をとるのが習い性になっていたのと、もともとエネルギッシュな体質の為、マンション暮らしで活動的なエネルギーをもてあましてしまうのも原因のようです。

人間だって、田舎から都会暮らしになったとて、いままでの習慣は継続しますもんね。
つーか、それが“習慣”というものであります。

エネルギーがありあまっているミネは、“クッション運び”を終えた後もなお、“柔道の受け身(のような行動)”を1人でやったり、ジュースのキャップを滑らせ全力疾走で追いかける技を延々と(真夜中に)繰り返していたわ。

この“真夜中の捕物帳”に、家族はたいへん驚いていました。
個人的には、“家族の誰1人気づかなかった”ことがめちゃ驚きでしたけどね。
毎晩、猫が廊下を全力疾走し、柔道をやっているとかなりな騒音なわけですが、ここでも、“知らぬは飼い主ばかりなり”の仏人独特のノンキさが出てますな。

ちなみに、このような元気満々型の猫は、昼間にしっかり遊んであげて、エネルギーを消費させてあげることが大事だそうです。
ミネは家族とタップリ遊ぶようになって、真夜中の捕物帳の回数が劇的に減りましたとサ。

続きまして、
“猫飼いの悩み解決”フランス編を紹介しましょう。

パリの豪奢なマンションに、2匹の猫と住むマダムの悩み=ソファーの(猫の)ひっかき傷。ソファーはボロボロ、一部が破れている。

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まず、猫がソファー等をひっかくという行為は、テリトリー誇示という猫の本能で、“ココ(=ソファー)はオレの家。オレが寛ぐスペースに、誰も(猫も、人間も←飼い主も)近づくな!”というサイン。

そうすることで、自分の縄張りを視覚でわからせる効果と、嗅覚でわからせる効果があるそうです(嗅覚=ひっかく際にフォロモンをなすりつけている為)。

では、こうなってしまった時の対策は?

①猫の爪とぎを用意する。
爪とぎが、ソファーに代わる“縄張り”となる為、必ず、猫の頭数分+1個プラスして用意しておくのがコツ。(この家は猫2匹飼ってるんで、2+1=3個用意)
②爪とぎは、猫がいつも寛いでいる場所のすぐソバに設置する。
③速攻で(爪とぎに)興味をひかせたい時は、爪とぎに、市販のホルモン液~フェロモンの香りつき~を染み込ませておく。
④爪は1ケ月に1回切る。

ソファーをひっかくのをやめさせる方法は?

猫がガリガリする箇所(ソファーがボロボロになっている面)に、直接、“透明の両面テープ”を貼る。たったこれだけで効果絶大!

こんど、猫がガリガリしようとした途端、猫の手にピタとテープがくっつき、不愉快千万。
次回からは避けるようになる、というわけです。

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こういうちょっとしたアイデアを仏国では“システムD”と呼ばれます。
アイデアはジャポンのお家芸と思いきや、仏人の右脳もなかなかやるニャ~。

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PS.5月~日本での個展開催につき、エッセイは“お休み期間”に入らせていただくニャリ。