画人文人 よんじょう
南仏コートダジュール在住の日本人。藍の万年筆で描かれる独自の絵は不思議な魅力を放つ。個展で展示される100点ほどの絵はほぼ完売。アメブロのヨーロッパ部門で有名なブロガーでもある。
<南仏ネコ絵巻>ではフランスの猫にまつわるグッズやよもやま話をイラストとともに紹介します。
「フランス絵巻」
©2018 yonjoo

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3月はホワイトデーですニャー。
という切り口を狙ってたんですが、仏国にホワイトデーは無い…。
仏女はバレンタインデーにチョコを貰いっぱなしで、何も返さんでエエねん。

というわけで、3月は、私の誕生日!(毎年、20歳になっています)全国の男性ファンから、お返し不要の高価な貢物を受け付けております。

誕生日=1つ歳を取る日=うれしくない、という妙齢婦女も少なくないですよね。でも、1年に3~4歳も歳を取る猫に比べれば、贅沢な不満ですわ。
“猫年齢早見表”によると、猫の1歳は人間でいうと17歳、猫の17歳は84歳にあたる、とされています。

飼い猫の年齢をきいて、「若くみえるね~!」と言う人間同士の会話も滑稽ですけど、猫界にも老け顔と若見え顔がいるのは人間と同じですかね。

©2018 yonjoo

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そもそも、猫の年齢を人間軸にあわせるというのは、自然界の法則からして間違ってるかもしれんのです。
猫軸に人間をあわせたらいいんですよ。
「猫生(人生)、朝露の如し。人間は1日を無駄にしとンニャー」ってことで、些末な事で悩んでる場合ではないなーという気になれるから。

ま、年中寝てるだけの猫から“1日を無駄にすな”と言われる筋合いもナイですが、何事も“期限つき”と意識した途端、今が充実するのは事実ですよね。

©2018 yonjoo

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それにしても、時間ってフシギなものですよ。
“24時間は皆に平等に与えられている”と、よく言われますけど、これは、時計に囚われた数字トリックかもしれません。
その実、同じ1時間でも、その過ごし方で、長くもなり短くもなり、伸縮自在なのが時間というものでござんしょ。

先月、日本に弾丸帰国しとりましたが、その(2週間の)短い日々が、ものすごく長い2週間に感じたんですわ。

通常、時間感覚には2つの考えがあって、楽しいことはアっというマにすぎて、苦しいことは長く感じる、というのと、無為に過ごす月日はアっというマにすぎて、充実している日は1日が長いというもの。

©2018 yonjoo

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このたびの帰国は、1日に3~4件の予定を入れ、2~3時間ごとに、会う人と場所が変わるという目まぐるしい日々だったんです。
1日のうちに、一話完結編を3~4度やっているような感じなんですが、なぜか、1日1日がゆっくりと流れていたような…。昼間の出来事は、夜になるともう遥か昔の事のように感じ、2週間前の出来事は、まるで2ケ月前の幻だったような錯覚になっておりました。

そして、仏国に戻った現在は、毎日がお絵描き三昧で、人とは会わない日常。こうなりますと、1日が「まるで無かったかの如く」高速で過ぎていき、気がつけば、もう3月も半ば。

帰国中の2週間も、仏国に戻ってからの2週間も、数字で換算すれば24時間×2週間=同じ、なのに、あきらかに時間の流れ方が違っていたのです。

©2018 yonjoo

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アインシュタインは、“時間は幻想にすぎない”(=時間など存在しない)という考えだったそうですが、その感覚が少しわかる気もしましたわ。

ただ、この世では、時系列に出来事が起こり、時間は過去から未来に流れるという概念が定着してますんで、“時間は存在しない”という域までは凡人(私)には理解できないですけどね。

猫の話から遥かに脱線しておりますんで、最後にちょっぴり猫エネルギーを加えておきましょう。

目下、知的財産権(ヨン画)に関して、保護対策を進めております。
一般の工業製品と違って、絵の場合、類似品が出現しても、“どこがどう違うのか?”を科学的かつ数値化して立証するのは非常に難しい事であります。

ゆえに、
「ヨン画の特徴、あるいは、類似画との決定的な違いは何だと思いますか?」と問われた際に、次のような、“科学者泣かせの回答”をしました。

「絵の違いは、エネルギーです。そして、ヨン画の特徴は、画中の登場人物(猫、イヌ、よんじょう)の間に愛が流れています。愛といっても、家族愛に近いもので、お互いの存在が当たり前になってる間柄なんで、わざわざ笑顔でいる必要もなく、素(ス)のままで油断していられる関係の愛なんです」

これをどうやって数値化すんねん、って、自分でつっこみましたけど、先方のセンセーからは意外な話が返ってきたのでした。

「これは、事実かどうかはサダカでない都市伝説なんですが、アインシュタインが唯一、後悔していた事は、“愛のエネルギーを証明しなかった事”というのがあるんだそうです」

アインシュタインが愛を証明するには、時代が許さなかったのかもしれませんが、これからの時代は、<ソコに愛があるかないか>が、すべてにおいて発展のキーになると思いますわ。

とはいえ、
愛は意識して出すものではなく、気がついたら出てしまっているもの。
猫は(を)愛そうと思って愛しているのではなく、そこにいるから愛してしまうもの。

頭で考えた愛は、すでに愛ではなさそうです。

奇しくも、ホワイトデー(3月14日)は、アインシュタインの誕生日だった、というオチで〆ておきますニャ。

©2018 yonjoo

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